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夏の放物線

望遠鏡

見えるものだけを信じてた

でも眼鏡をはずした瞬間に

世界は輪郭をなくして

ゆっくりと曖昧になっていく


君が言った「見えることは、信じること?」

答えられなくて、僕はただ黙って

望遠鏡を覗いていた


夜空を照らす 遅れて届く光

それはもう 存在しない誰かの

最後のメッセージ

それでも僕たちは今

この瞬間に空に向けて願いをかける


本当に見たいものは

いつだって少し外側にあって  

ぼやけたまま けれど確かにそこにある

瞬きをしている間に

通り過ぎていってしまうものだから



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