あの春に初めて気づいた
角に咲く桜の木のこと
まだ名前もない午後の光の中
冷たい風の匂いを吸い込みながら
来年の春にはもう
ここにいることは出来なくても
17歳の私はそこにもういなくても
桜の花は あの日と同じ色のまま
風に揺れている
そしてあの角を曲がるたび
少しだけ 背筋を伸ばす
失くしたのではなく
ただ通り過ぎるだけだと
桜の木の下で 今はそう思えるから
あの春に初めて気づいた
角に咲く桜の木のこと
冷たい風の匂いを吸い込みながら
あの午後の光の向こうへ歩き出す
タイトル:桜の木の下で
17歳の春
来年はもうここにいないかもしれない
そう思った桜の木の下
失くしたのではなく
ただ通り過ぎていくだけだと
あの場所で知った